防災井戸マップを使って分かった紙とアプリの役割分担
地図に載っていても、たどり着けるとは限らない
市が公開している防災井戸マップを持って、実際にいくつかの地点を歩いてみました。災害時に生活用水として使える井戸の位置を示すもので、Web版と紙のPDFが用意されています。
Web版は検索しやすく、現在地から近い井戸を見つけるには便利です。ただ、現地に着くと分かりにくい場所もありました。個人宅の敷地内にある井戸、公園の奥にある井戸、道路から見えにくい共同井戸。地図上のピンだけでは、入口や利用時の声かけまでは分かりません。
紙の地図が強い場面
一方で、自治会館に置かれていた紙の地図には、手書きの補足がありました。「門の右側」「普段は鍵あり」「管理者は向かいの店舗」などです。情報としては非公式かもしれませんが、現地で使うにはこちらの方が具体的でした。
災害時にはスマートフォンの電池や通信環境が不安定になります。だから紙が必要という話はよくあります。しかし今回見えた紙の価値は、オフラインで見られることだけではありません。地域の人が現場の知識を書き足せることでした。
アプリに必要なのは完璧さではなく更新の受け皿
防災情報は正確でなければなりません。ただ、正確さを保つために更新が遅くなると、現場で使いにくくなります。公式情報と地域の補足をどう分けるかが重要です。
たとえばアプリ側に「地域メモ」欄を設け、公式情報とは表示を分けて扱う方法があります。最終確認日や投稿者の自治会名が分かれば、利用者は参考情報として判断できます。
事前に歩くことの意味
防災マップは、災害が起きてから初めて見るものではなく、平時に歩いて確認するためのものでもあります。地図を見ながら実際に歩くと、坂道、暗い道、狭い路地、水を運ぶ距離などが分かります。
アプリと紙はどちらか一方ではありません。アプリは検索と更新、紙は現地の共有と訓練に向いています。防災井戸マップを本当に役立てるには、媒体の優劣ではなく、使う場面ごとの役割分担を設計する必要があります。
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