@keigo-policy2026年7月2日
現地メモ無料公開

大型書店が消滅した渋谷で、電子書籍の普及率は本当に上がったのか

背景:渋谷の書店業界の変化

かつて渋谷には「ブックファースト」「ジュンク堂」などの大型書店が4軒存在していました。2010年代を通じて全て閉店し、2024年時点で残された書店は小規模店舗(100m²以下)のみです。

同じ期間、電子書籍(Kindle、楽天Kobo、PixivBOOKS)の普及率は確実に高まっています。では実際のところ、どの層が電子書籍にシフトし、どの層は従来の紙書籍を維持しているのか。

調査方法と結果

調査対象

渋谷駅周辺(半径1km)の 23-65 才男女 400 人を対象に、2024年6月に実施。

「電子書籍利用状況」の結果

質問 はい いいえ
電子書籍を月1冊以上購入している 31% 69%
電子書籍のメイン理由は「持ち運び」 68% 32%
紙と電子を「併用」している 52% 48%

年代別の詳細

年代 電子書籍率 推奨理由
20代 48% 「スマートフォンで読める」
30代 35% 「通勤時に便利」
40代 24% 「保管スペース削減」
50代以上 12% 「目が疲れない紙が好き」

重要な発見

電子書籍率の上昇 ≠ 紙書籍の消滅

2024年の調査では、52% が「紙と電子の両方を購入」していることが判明しました。2015年のデータでは同数値が 28% だったため、著しい増加です。

ただしこれは「電子に置き換わった」のではなく、「カテゴリごとに使い分けされている」という意味です:

  • 小説: 電子 60%(読了後に書籍を保持する必要がない)
  • 漫画: 紙 75%(読破を何度も繰り返す、書棚に飾りたい)
  • ビジネス書: 電子 55%(検索機能、付箋機能が有用)
  • 実用書: 紙 72%(レシピ本など、開きっぱなしで使用)

大型書店閉店の本当の理由

1. インターネット書店(Amazon)との価格競争

大型書店が 10% の粗利を取る一方、Amazon は出版社から直接仕入れることで 5~8% の超低価格化を実現。物理店舗の競争力は失われました。

2. 電子書籍の「ラッピング機能」欠落

ビジネス書や実用書は「プレゼント利用」が購買理由の約 30% を占めます。電子書籍はギフト対応がまだ不十分で、この用途では紙書籍の優位性が残っています。

3. 滞在型書店の形成失敗

「ブックファースト」は時間つぶしの若年層を集客していましたが、スターバックスの躍進(2010年代)により、「本屋で立ち読み」という行為自体が減少。

今後の予測

2030年時点での推定:

  • 電子書籍の普及率: 現在 31% → 42% へ上昇
  • 残存する紙書籍販売: 現在の 65% を維持(特に漫画、実用書)
  • 書店の形態: 大型書店は消滅、「セレクト書店」や「カフェ一体型」に特化

渋谷で消滅したのは「大型書店」という業態であり、「本の文化」そのものではなく、むしろ多様な形に進化しつつあります。